営業許可証とは?費用・取得手順・必要書類を徹底解説

営業許可証とは、その施設が定められた基準を満たし、食品を扱ってよいと行政が認めた証明書のこと。これがないまま営業すると罰則の対象になります。
この記事では、費用や期間の目安、必要書類、施設検査の準備、食品衛生責任者の設置、更新や廃業の手続きまで、申請の現場で実際に起きることをベースに整理しました。私は行政書士として年間30件以上の許可申請に関わっています。差し戻されやすい落とし穴も含めて、迷わず動ける順番でお伝えします。
営業許可証とは?意味と必要になる場面をわかりやすく解説

営業許可・営業届出はどちらも食品衛生法に基づく制度です。2021年6月1日から新しい制度が動き出し、食品の営業は「許可業種」「届出業種」「届出対象外」の3つに整理されました。
営業許可と営業届出の違いと判別方法
ざっくり言うと、「許可」はハードルが高く、「届出」は登録に近い手続きです。
許可が必要なのは、公衆衛生に与える影響が著しい営業。飲食店や食肉販売などが該当します。許可を受けるには施設が基準に適合していることが前提で、行政の立入検査も入ります。
届出は、許可ほどリスクは高くないが把握しておきたい業種が対象。検査はなく、システム上での届出で完了します。判別に迷ったら、自己判断で進めず保健所に確認してください。ここを間違えると後で全部やり直しになります。
許可が必要な食品取扱い業種の一覧
制度改正後、要許可業種は32業種に再編されました。代表的なものを下にまとめます。
| 区分 | 業種の例 | 検査の有無 |
|---|---|---|
| 許可業種 | 飲食店営業、菓子製造業、食肉販売業、食肉処理業、乳製品製造業 | あり(施設検査) |
| 届出業種 | 包装食品の販売、添加物製造(一部)など | なし |
| 届出対象外 | 常温保存可能な包装食品のみの販売など | なし |
2021年食品衛生法改正による制度の変更点と経過措置
改正の大きな柱は、業種区分の再編と届出制度の新設、そしてHACCPに沿った衛生管理の制度化です。
気をつけたいのが経過措置。2021年5月31日までに取得した旧法の許可は、有効期間が満了するまでは従前どおり営業できます。
つまり、旧許可で営業中の方は、満了のタイミングで新制度の許可へ切り替えることになります。更新時に「思っていた業種区分と違った」というケースを実際に見てきました。満了前に一度、区分の確認を済ませておくと安心です。
営業許可証の取得にかかる費用と手数料の目安
費用は「いくらか」を一律で言えません。手数料は自治体の条例で定められ、業種ごとに金額が違うからです。ここでは確実に言えることだけ書きます。

業種別の手数料の考え方
手数料は申請する業種の数だけかかるのが基本です。たとえば飲食店営業と菓子製造業を同じ施設で取るなら、2業種分が必要になります。
正直に言うと、金額は数千円から1万数千円の幅で自治体差が大きく、ここで具体的な数字を挙げると地域によって外れます。私は必ず管轄自治体の手数料表で確認してから見積もりを出しています。あなたの所在地の保健所サイトで「手数料」を確認するのが一番早く、確実です。
支払い方法と申請時の注意点
支払い方法は窓口での現金や収入証紙など、自治体で扱いが分かれます。電子申請を使う場合の納付方法も自治体ごとに異なります。
注意点はひとつ。手数料は申請の時点で必要になることが多く、後払いではありません。申請日に慌てないよう、金額と納付方法は事前相談で必ず聞いておいてください。
営業許可証の取得手順と交付までの流れ
取得の流れは、どの自治体でもおおむね同じ5ステップです。申請後は書類審査と立入検査が行われ、基準に適合すれば許可証が交付されます。

事前相談から営業開始までの5ステップ
順番を間違えると工事のやり直しが発生します。とくに「事前相談を飛ばして内装工事を進める」のは最大の失敗パターン。図面段階で相談してください。
| 順番 | ステップ | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 事前相談 | 施設の図面を持参し、基準を満たすか確認する |
| 2 | 営業許可申請 | 必要書類を揃えて保健所またはシステムで申請 |
| 3 | 施設検査 | 保健所職員が現地で基準適合を確認 |
| 4 | 営業許可証の交付 | 検査合格後に許可証が交付される |
| 5 | 営業開始 | 許可証を受け取ってから営業を始める |
5の前に営業を始めてはいけません。交付前の営業は無許可営業です。
申請から交付までにかかる期間の目安
交付までの正確な日数は自治体や混み具合で変わるため、確実な数字は管轄に確認するのが前提です。
私の実務感覚で言うと、申請から検査、交付まで数日から2週間程度を見ておくと予定が立てやすいです。検査日は申請後に調整するので、オープン日から逆算して早めに動くこと。ここで詰まる方が本当に多いです。
食品衛生申請等システムでのオンライン申請の手順
営業許可申請も営業届出も、「食品衛生申請等システム」からオンラインで行えます。窓口に行かずに申請できるのが大きな利点です。
大まかな流れは、アカウント(GビズIDまたは個別ID)の作成、施設情報・営業者情報の入力、業種の選択、書類の添付、申請の送信、という順です。送信後に保健所から検査日の連絡が来ます。
オンラインでも施設検査は省略されません。そこは勘違いしやすいので念のため。
営業許可申請に必要な書類と施設基準

許可を受けるには、施設が定められた基準に適合していることが前提です。書類が揃っていても施設が基準を満たさなければ通りません。
申請時に必要な書類一覧と記載のポイント
基本の書類に加え、状況に応じて追加で必要になるものがあります。法人か個人か、使う水の種類で変わる点に注意してください。
| 書類 | 必要になる場面 |
|---|---|
| 営業許可申請書 | すべての申請で必要 |
| 施設の構造・設備を示す図面 | すべての申請で必要 |
| 食品衛生責任者の資格を証する書類 | すべての申請で必要 |
| 登記事項証明書 | 申請者が法人の場合のみ |
| 水質検査成績書 | 水道水以外の井戸水等を使用する場合 |
| 郵送希望の返信用封筒等 | 許可証の郵送を希望する場合 |
記載で多いミスは、図面と実際の設備が一致していないこと。シンクの数や位置がズレると検査でつまずきます。
施設基準とHACCP対応で求められる設備の例
施設基準は都道府県が条例で定めます。共通して問われるのは、手洗い設備、十分な数のシンク、清掃しやすい床壁、食品の保管設備、区画の明確さです。
改正で衛生管理はHACCPに沿った形が求められるようになりました。といっても小規模店では「手引書に沿って手順を決め、記録をつける」ことが中心です。大掛かりな設備投資が必須というわけではありません。ここは過度に身構えなくて大丈夫です。
施設検査で確認されるポイントと事前準備
検査は申請後に行われる立入検査です。図面どおりに施設ができているか、基準に適合しているかを職員が現地で確認します。
| 確認項目 | 見られる点 |
|---|---|
| 手洗い設備 | 所定の位置にあり、消毒設備が機能するか |
| シンク・洗浄設備 | 必要数があり、用途が分かれているか |
| 冷蔵・冷凍設備 | 温度管理ができ、温度計があるか |
| 床・壁・天井 | 清掃しやすく、破損や汚れがないか |
| 食品衛生責任者の掲示 | 氏名のプレート等を掲示しているか |
検査当日に「給湯が出ない」「シンクの設置が未完了」で再検査になる例を何度も見ています。設備は検査日までに完全に稼働できる状態にしておくこと。これが合格の近道です。
食品衛生責任者の役割と設置の手続き
飲食店の許可では、施設ごとに食品衛生責任者を1人以上配置することが基本要件です。

食品衛生責任者とは何か・設置義務
食品衛生責任者は、その施設の衛生管理を担う人です。許可業種では設置が義務で、いないと許可が下りません。
店長や経営者本人が兼ねるケースが多いです。1施設に1人、確実に置いてください。
資格を有する者と講習会について
調理師や栄養士などの資格保有者は、そのまま食品衛生責任者になれます。資格がない場合は、各地で行われる食品衛生責任者の養成講習会を受講すれば資格を得られます。
開業直前に「責任者がいない」と気づくと講習の予約が間に合わないことがあります。物件を決めたら早めに受講枠を押さえておくのが現実的です。
設置・変更・氏名変更の手続き
責任者を新しく置くとき、担当者を入れ替えるとき、氏名が変わったときは、それぞれ届出が必要です。手続きは食品衛生申請等システムからも行えます。
スタッフの入退社で責任者が変わるのに届出を忘れる店は意外と多いです。掲示の名前と届出の名前は常に一致させておいてください。
営業開始後に必要な手続き(継続・変更・廃業)
許可は取って終わりではありません。有効期間があり、更新を忘れると無許可状態になります。

新潟県の案内では、営業許可期間は5年をくだらない期間とされています。期間は自治体・業種で異なるため、自分の許可証に書かれた満了日を必ず確認してください。
有効期間と更新タイミングの管理方法
更新は満了前に手続きします。直前だと検査の日程が取れず、満了に間に合わないことがあります。
私がお客様にすすめているのは、許可証の満了日をスマホのカレンダーに「満了の2〜3か月前」で通知設定すること。地味ですが、これで更新漏れはほぼ防げます。
申請事項の変更と地位承継(相続・合併・譲渡)
営業者の氏名や施設の内容など、申請した事項に変更があれば変更届が必要です。
相続・合併・譲渡で営業者が変わる場合は、地位承継の手続きがあります。これを使えば、要件を満たせば許可を引き継げます。とくに親族間の事業承継では、知らずに新規取得し直そうとして二度手間になる例があるので、先に承継の可否を確認してください。
廃業時の手続き
店をたたむときは廃業の届出が必要です。出さずに放置すると、記録上は営業中のまま残ります。
廃業届はシステムからも提出できます。閉店の作業に追われて忘れがちですが、最後まで済ませておきましょう。
申請でつまずきやすい不備事例と現場の注意点

申請後は書類審査と立入検査があります。差し戻しの多くは、ちょっとした準備不足が原因です。私が現場で繰り返し見てきたものを共有します。
よくある差し戻し・不備の具体例と対処法
| 不備の例 | 対処法 |
|---|---|
| 図面と実際の設備が違う | 工事完了後の状態で図面を作り直す |
| 業種区分の選び間違い | 事前相談で扱う食品から区分を確定する |
| 食品衛生責任者の書類不足 | 資格証や講習修了証を事前にコピーして添付 |
| 手洗い・シンクの不足 | 検査前に必要数を満たしているか実測で確認 |
| 井戸水使用で水質検査未提出 | 成績書を取得してから申請する |
対処の共通点は「事前相談で潰しておく」こと。相談は無料の自治体が多く、使わない手はありません。
複数店舗・移動販売・イベント出店時の許可の扱い
許可は施設ごとです。2店舗目を出すなら、店舗ごとに許可と食品衛生責任者が要ります。1つの許可で複数店は回せません。
キッチンカーなどの移動販売は、車両を施設とみなした専用の基準があります。イベント出店も内容によって許可や届出の扱いが変わります。出店先の管轄保健所に、その都度確認するのが安全です。
無許可営業や違反時の罰則・行政処分
許可が必要な業種を許可なしで営むのは食品衛生法違反で、罰則の対象です。営業停止などの行政処分につながることもあります。
「交付前にプレオープンだけ」も無許可営業に当たります。軽く考えず、許可証を受け取ってから営業を始めてください。
営業許可証に関するよくある質問
相談現場で特に多い3つに、簡潔に答えます。

よくある質問
最後にひとつだけ。迷ったら自己判断で工事や開業を進めず、図面段階で保健所に相談してください。順番を守るだけで、差し戻しのほとんどは防げます。
