飲食店営業許可証とは?取得の流れ・必要書類・費用をわかりやすく解説

この記事では、定義から取得の流れ、必要書類、費用の目安、施設基準、食品衛生責任者やHACCP、業態別の注意点まで一通り解説します。私が現場で実際に保健所へ同行して見てきた、つまずきやすいポイントも交えます。
開業準備で迷わず動けるよう、手順と注意点を順番に整理しました。読み終えたら、まず何から準備すればいいかが分かるはずです。
飲食店営業許可証とは?基本をわかりやすく解説

飲食店営業許可証とは、正式には食品関係営業許可と呼ばれ、食品衛生法第55条にもとづいて保健所(都道府県知事)から交付される公的な許可です。お店で食品を調理して客に提供するなら、この許可がないと営業できません。
レストラン、寿司屋、カフェ、居酒屋、バーなどを含む32業種が営業許可の対象です。食品を調理して提供する形態なら、ほぼ該当すると考えてください。
営業許可証が必要な理由と対象となる施設
理由はシンプルで、衛生面の安全を国が担保するためです。無許可で営業すると、食品衛生法第52条1項違反として2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されます。これは決して軽くない。
2021年6月1日の食品衛生法改正で、旧来の「喫茶店営業許可」は「飲食店営業許可」に統合されました。これにより、酒類を出さないカフェのような店も飲食店営業許可の対象に含まれています。
許可と届出の違い
ここを混同する方が本当に多いです。「許可」は保健所の審査と施設検査に合格して初めて営業できるもの。「届出」は決められた事項を行政に伝えるだけのもので、審査を伴いません。
飲食店営業は許可制です。一方、後で触れる深夜酒類提供のように、提出すれば足りる届出制のものもあります。性質がまったく違うので、自分の手続きがどちらなのかを最初に確認してください。
店内への掲示義務について
取得した許可証は、店内の見やすい場所に掲示する必要があります。私が同行した立入検査でも、検査員は許可証の掲示を必ず確認します。
額に入れてレジ横や厨房の入り口に貼っている店が多い印象です。引き出しにしまったままにしないこと。これだけは忘れないでください。
飲食店営業許可証を取得するまでの流れ
取得の流れは大きく5ステップです。手続きは「事前相談(設計図持参)→申請書類提出→立入検査→必要時の防火管理者届出→営業開始」という順序で進みます。

事前相談から営業開始までの5ステップ
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①事前相談 | 保健所に施設の設計図を持参して相談 | 内装工事の着工前に行う |
| ②営業許可申請 | 申請書類を保健所へ提出 | 食品衛生責任者を決めておく |
| ③施設検査 | 保健所の職員が現地を立入検査 | 基準を満たさないと再検査になる |
| ④許可証の交付 | 検査合格後に許可証が発行される | 掲示用に受け取る |
| ⑤営業開始 | 許可証の交付後に営業可能 | 交付前の営業は不可 |
私が一番強調したいのは①事前相談です。内装工事が終わってから「この設備では基準を満たさない」と分かると、作り直しで数十万円が飛びます。図面の段階で必ず相談してください。
取得までにかかる期間・スケジュールの目安
申請から許可証の交付まで、私の実務感覚ではおおむね2週間前後を見ておくと安心です。ただし施設検査の予約状況や、検査で指摘を受けて再検査になるかどうかで前後します。
開店日から逆算して、最低でも1か月以上の余裕を持って事前相談に入ることをすすめます。ギリギリで動くと、検査の予約が取れずに開店がずれ込むことがあるからです。
保健所での施設検査の流れとチェックポイント
立入検査では、保健所の職員が図面どおりに設備が作られているか、衛生基準を満たしているかを一つずつ確認します。合格して初めて許可証が交付される仕組みです。
よく見られるのは、手洗い設備の位置と数、シンクの槽数、冷蔵庫の温度計の有無、床や壁が清掃しやすい構造かどうか。私が同行したケースでは、手洗いの蛇口が手動式で指摘を受け、自動式やレバー式への交換を求められたことがあります。
営業許可申請に必要な書類と費用
申請に必要な主な書類は3つです。営業許可申請書、施設の見取り図・配置図面、食品衛生責任者の資格証明書類(または養成講習会の受講誓約書)。これが基本セットになります。

申請に必要な書類一覧
| 書類 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 営業許可申請書 | 保健所所定の様式 | 窓口またはオンラインで入手 |
| 見取り図・配置図面 | 施設の構造や設備配置を示す図 | 事前相談で持参するものと同じ |
| 食品衛生責任者の資格証明 | 資格証または養成講習会受講誓約書 | 受講予定でも誓約書で申請可 |
| 水質検査成績書 | 井戸水など独自の水を使う場合のみ | 水道水利用なら不要 |
| 登記事項証明書 | 申請者が法人の場合のみ | 個人事業主は不要 |
水質検査成績書は、水道水・専用水道・簡易専用水道以外の飲用に適する水を使う場合だけ必要です。井戸水を使う山あいの店などが該当します。多くの市街地の店は不要です。
個人事業主と法人で異なる手続きの違い
個人事業主と法人で大きく違うのは、法人だと登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の提出が必要になる点です。申請者の名義も、個人なら本人、法人なら会社名と代表者になります。
正直、申請書の書き方自体はそこまで変わりません。ただ法人は登記簿の準備に時間がかかるので、法務局での取得を早めに済ませておくと段取りがスムーズです。
申請手数料の目安と確認方法
手数料は自治体ごとに金額が決められています。今回確認した公式情報の範囲では、具体的な金額が明記されたページを特定できませんでした。だから断定はしません。
確実なのは、必ず管轄の保健所のサイトか窓口で金額を確認することです。私はいつも事前相談のときに手数料額をその場で聞いて、依頼者に伝えています。自治体で差があるので、ここは推測で動かないでください。
クリアすべき施設基準のポイント

施設基準は、都道府県が条例で定める内装・設備の衛生基準です。許可を受けるには、施設ごとに食品衛生責任者を1人以上配置し、この施設基準を満たす必要があります。
厨房設備・手洗い設備の基準
厨房で特に問われるのは、洗浄用シンクと手洗い設備が分けて設けられているか。食器を洗うシンクで手を洗う運用は認められません。
手洗いは、消毒液を備え、できれば手で触れずに水を出せる構造が望まれます。私の経験では、ここが原因で再検査になる店が一定数あります。図面段階で配管位置を決めておくと安心です。
床・壁の構造や換気の基準
床と壁は、清掃しやすく水で流せる構造であることが基本です。木のむき出しや、目地に汚れがたまりやすい仕上げは指摘されやすい。厨房の床は耐水性のある素材にしておくと無難です。
換気も確認項目です。調理で出る煙や蒸気を屋外へ排出できる換気設備があるか。住宅を改装したケースで、換気扇の能力不足を指摘された現場を見たことがあります。
よくある不許可・差し戻し事例と対策
私が見てきた差し戻しの典型は3つあります。手洗い設備の不備、シンクの槽数不足、そして図面と現物が違うケース。工事中に「ここは変えた方が早い」と現場判断で動かすと、図面と合わなくなって再検査になります。
対策はひとつ。事前相談で示した図面どおりに作り、変更が出たら工事前に保健所へ連絡することです。地味ですが、これが一番開業を早めます。
食品衛生責任者とHACCPの基礎知識
許可を受けるには、施設ごとに食品衛生責任者を1人以上置く必要があります。さらに2021年の食品衛生法改正で、原則すべての食品事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務づけられました。

食品衛生責任者の役割と資格の取り方
食品衛生責任者は、店の衛生管理を担う責任者です。調理師や栄養士などの資格を持っていれば、それで要件を満たせます。資格がない場合は、各自治体の養成講習会を受講すれば取得できます。
オーナー本人がなるのが一般的です。店ごとに1人必要なので、複数店舗を持つなら店舗ごとに配置を考えてください。
養成講習会の受講案内
養成講習会は、各都道府県の食品衛生協会などが実施しています。1日で修了するものが多く、修了すれば食品衛生責任者の要件を満たせます。
申請時にまだ受講できていなくても、受講誓約書を出せば許可申請は進められます。日程が埋まりやすいので、開業を決めたら早めに予約しておくのが私のすすめる動き方です。
2021年食品衛生法改正(HACCP義務化)の概要
HACCPは、調理の工程ごとに衛生上の危険を管理し、記録する考え方です。難しく聞こえますが、小規模な飲食店は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」という簡略な形で対応できます。
具体的には、温度管理や手洗いなどの手順を決めて、日々チェックして記録するイメージです。新しく開業するなら、業界団体が出している手引書に沿って衛生管理計画を作っておくと検査でも説明しやすいです。
業態別・ケース別で異なる許可の注意点
同じ飲食店でも、業態や物件の条件で注意点が変わります。とくに収容人数が30人以上、または延べ面積が基準を超える場合は、防火管理者の設置が必要です。

カフェ・居酒屋・テイクアウト・キッチンカーの違い
| 業態 | 主な許可・届出 | 注意点 |
|---|---|---|
| カフェ | 飲食店営業許可 | 喫茶店営業から統合され許可が必要 |
| 居酒屋・バー | 飲食店営業許可+深夜酒類提供届出 | 深夜に酒を出すなら届出が必要 |
| テイクアウト | 飲食店営業許可 | 製造・販売の形態により別許可の確認を |
| キッチンカー | 飲食店営業許可(移動販売) | 車両の設備基準があり扱える品目に制限 |
キッチンカーは特に注意が必要です。車内で調理できる範囲や、給排水タンクの容量で扱える品目が変わります。さらに営業する場所の管轄保健所ごとに確認が要ることもある。出店エリアが広い人は早めに相談してください。
居抜き物件で開業する場合の許可の引き継ぎ
許可は「場所」や「設備」に対して交付されます。そのため経営者が交代した場合は、届出を行うことで前の許可を引き継げる仕組みがあります。これは2021年改正で整理された点です。
ただし、引き継げるからといって油断は禁物。前の店から設備を入れ替えたり間取りを変えたりすると、改めて検査や申請が必要になることがあります。居抜きでも、まず保健所に現状を相談するのが確実です。
深夜酒類提供届出など関連する他の許認可
深夜0時以降に酒類を提供する店は、深夜酒類提供飲食店営業開始届を警察署に出す必要があります。これを出さずに営業すると、50万円以下の罰金の対象になります。
飲食店営業許可とは別の手続きである点に注意してください。バーや深夜営業の居酒屋を考えているなら、保健所だけでなく警察署、防火関係で消防署と、行き先が3つになります。段取りを最初に組んでおくと迷いません。
取得後に必要な手続きと更新の管理

許可は取って終わりではありません。許可証の有効期限は自治体により5年から8年で設定されており、期限が切れる前に更新手続きが必要です。
有効期限と更新時期の管理方法
更新は、書類審査と保健所の立入検査を経て行われます。新規のときと同じく施設の状態が確認されるので、日頃から基準を保っておくことが結局は近道です。
期限管理で私がすすめるのは、許可証に書かれた有効期限の半年前をカレンダーやスマホのリマインダーに登録しておくこと。更新は期限切れ前に動かないと、最悪一度営業を止めることになりかねません。
変更・承継・廃業・休業時の届出
店名や設備、営業者など申請事項に変更があった場合は、保健所への届出が必要です。営業者の地位を承継したとき、廃業したとき、休業や営業を再開するときも、それぞれ届出の対象になります。
令和3年5月31日までに許可を取得している店は、改正前の制度にもとづく届出様式になることがあります。古い許可で承継や変更をするときは、現在の様式と異なる場合があるので、管轄保健所に確認してから進めてください。
営業許可証の再交付を受ける場合
許可証を紛失したり破損したときは、再交付を申請できます。店内掲示の義務がある以上、見当たらなくなったら早めに手続きしてください。
再交付の申請先も管轄の保健所です。必要書類や手数料は自治体で異なるので、窓口で確認するのが確実です。
飲食店営業許可証に関するよくある質問
開業相談でよく受ける質問を、現場の答え方でまとめました。細かい金額や様式は自治体差があるため、最終確認は必ず管轄保健所で行ってください。

よくある質問
最後にひとつだけ。開業準備で迷ったら、図面を持って保健所の事前相談に行ってください。工事前に相談しておくだけで、不許可や作り直しのリスクがぐっと下がります。私が現場で一番効果を感じている、地味だけど確実な一歩です。
