2026年6月20日|飲食店営業許可について、制度の正確な解説と実務(費用・流れ・依頼先)を一次情報にあたって整理するメディア。
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飲食店の営業許可証とは?取得費用・申請手順・必要書類を徹底解説

宮田さおり / 更新:2026-06-18
飲食店の営業許可証とは?取得費用・申請手順・必要書類を徹底解説
飲食店を開きたいけれど、営業許可証って何から手をつければいいのか分からない――そんな相談を毎月のように受けます。結論から言うと、飲食店の営業許可証は「保健所が施設を検査して、食品を扱ってよいと認めた証明書」で、これがないと店は開けません。

私は行政書士として年間30件以上、飲食店の許可申請をサポートしてきました。保健所や消防署にも何度も同行しています。その現場の感覚を交えて、費用・期間・手順・施設基準まで一気に整理します。

この記事を読めば、自分のケースで何をどの順番で進めればいいかが分かります。却下されやすいポイントや、キッチンカー・自宅営業など特殊な形態の注意点もまとめました。

飲食店の営業許可証とは?まず知っておきたい基本

【飲食店営業許可証】取得までの流れ|保健所チェックポイント|2022年度|食品衛生管理責任者
【飲食店営業許可証】取得までの流れ|保健所チェックポイント|2022年度|食品衛生管理責任者

営業許可証は、ただの紙ではありません。これがないまま営業すると、それ自体が法律違反になります。まずは制度の土台を押さえましょう。

営業許可証の意味と役割

飲食店営業許可は、食品衛生法にもとづいて都道府県知事(実務上は保健所)が与える許可です。「この施設なら安全に食事を提供できる」と公的に認められた証、と考えてください。

許可は人ではなく「施設」に対して下ります。だから店舗ごとに取得が必要で、引っ越せばまた取り直しです。私が現場でよく説明するのは「許可は建物に紐づく」という言い方です。

無許可営業の罰則とリスク

許可を取らずに営業した場合、食品衛生法違反として罰則の対象になります。営業停止だけでなく、刑事罰が科される可能性もある重い違反です。

罰則の具体的な内容は法令で定められています。正確な条文は厚生労働省や消費者庁の公表資料で確認してください。

正直に言うと、無許可営業は「バレなければ大丈夫」という発想が一番危ない。食中毒や近隣トラブルをきっかけに発覚するケースが多く、そうなると行政指導だけでは済みません。

営業許可が必要な業種と届出だけで済む業種の違い

2021年の法改正で、すべての食品事業が「許可」「届出」「どちらも不要」の3つに整理されました。飲食店営業は許可が必要な業種です。

一方で、包装された食品だけを売る、常温保存できる菓子だけを販売するといった一部の業態は「届出」で済みます。許可と届出は手間も検査の有無も大きく違います。

許可・届出・不要の区分イメージ
代表的な区分。実際の判定は管轄保健所に確認を。
区分代表例保健所の施設検査
許可が必要飲食店営業、菓子製造業などあり
届出が必要包装食品の販売、一部の製造業などなし(届出のみ)
どちらも不要常温で保存できる包装食品の販売の一部などなし

2021年の食品衛生法改正で変わったこと(営業届出制度とHACCP)

令和3年(2021年)6月から、営業許可制度が見直され、新たに「営業届出制度」が始まりました。これまで許可も届出も不要だった一部業種に、届出の義務が加わったのが大きな変化です。

同時に「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」が原則すべての食品事業者に義務化されました。HACCPは、調理や保存の工程ごとに危険を予測して管理する衛生管理の方法、とイメージしてください。

小さな飲食店なら「衛生管理計画を作って記録を残す」程度の対応で足ります。難しく考えすぎなくて大丈夫です。

営業許可の取得にかかる費用と期間の目安

「結局いくらかかって、いつ開けるのか」が一番知りたいところだと思います。ここは正直に書きます。手数料は自治体ごとに条例で決まっており、全国一律の金額ではありません。

営業許可の取得にかかる費用と期間の目安

申請手数料・費用の内訳

飲食店営業許可の申請手数料は、各自治体の条例で定められています。金額は地域差があるため、開業予定地の保健所が公表している手数料表を必ず確認してください。

私の実感としては、許可手数料そのものより、施設を基準に合わせる設備工事のほうがはるかに大きな出費になります。手洗いやシンクの追加で数万円〜が動くことも珍しくありません。

許可取得にかかる主な費用項目
金額は自治体・物件・工事内容で変動。具体額は管轄保健所と施工業者に確認を。
項目内容
申請手数料自治体条例で規定(要確認)
食品衛生責任者の資格取得講習会の受講料が必要
設備工事シンク・手洗い・床壁の改修など

申請から許可証交付までのスケジュール

おおまかな流れは、事前相談→申請→施設検査→許可証交付です。検査に合格してから許可証が手元に届くまで、数日かかるのが一般的です。

ここで大事なのは、許可証が交付されるまで営業は始められないという点。内装の完成日と検査日、オープン予定日には必ず余裕を持たせてください。私はいつも「検査日は開店の2週間以上前に」とお願いしています。

食品衛生責任者の資格取得にかかる費用と講習会

飲食店には食品衛生責任者を1名以上置く必要があります。資格は各都道府県の食品衛生協会などが実施する講習会を受講して取得します。

調理師や栄養士などの資格を持っていれば、講習が免除される場合があります。受講料や日程は実施団体ごとに違うので、地元の協会の案内を確認してください。

営業許可申請の手順をステップで解説

ここからは実際の進め方です。順番を間違えると工事をやり直す羽目になります。私が現場で必ず守ってもらう流れを、時系列で並べます。

営業許可申請の手順をステップで解説

事前相談から開業までの流れ

最初にやるべきは、内装工事の前の事前相談です。図面を持って保健所に行き、その施設で許可が下りるか確認します。これを飛ばすと、完成後に基準不適合が判明して大損します。

申請の基本ステップ
順番やること
1保健所へ事前相談(図面持参)
2食品衛生責任者の確保
3内装・設備工事
4営業許可申請書の提出
5保健所による施設検査
6許可証の交付・営業開始

必要書類の準備(営業許可申請書ほか)

中心となるのは営業許可申請書です。あわせて施設の図面、食品衛生責任者の資格を示す書類などを用意します。法人の場合は登記事項証明書を求められることもあります。

必要書類は自治体ごとに様式や添付物が微妙に違います。保健所の窓口やサイトで配布される最新の様式を使ってください。

図面の書き方と記載すべき項目

図面でつまずく方が本当に多い。とはいえ設計士並みの精度は不要です。求められるのは「どこに何があるか」が伝わる平面図です。

最低限、厨房と客席の区分、シンクの数と位置、手洗い設備、冷蔵庫、トイレの位置を書き込みます。寸法と、床・壁の材質も添えると検査がスムーズです。

私の経験上、手書きでも構いません。きれいさより、シンクの数や手洗いの位置が正確であることのほうが何倍も重要です。

申請後の保健所による施設検査の流れ

申請を出すと、担当者が現地に来て施設検査を行います。図面どおりに設備が整っているか、衛生基準を満たしているかを目で確認していきます。

検査当日は、できれば設備をすぐ動かせる状態にしておくこと。水が出るか、冷蔵庫が冷えているかまで見られることがあります。立ち会いは私も何度も経験していますが、準備が整った店ほど検査は驚くほど早く終わります。

保健所がチェックする施設の構造設備基準

【飲食店営業許可の​取得方法】条件・申請方法は?
【飲食店営業許可の​取得方法】条件・申請方法は?

許可が下りるかどうかは、ほぼ施設の構造設備で決まります。基準は政令と各自治体の条例で定められています。ここを満たせるかが最大の関門です。

厨房・床・壁の要件

厨房は客席ときちんと区切られていることが基本です。床や壁は、清掃しやすく水で流せる、あるいは拭き取れる材質が求められます。

木のむき出しの床や、油や水を吸う壁材は指摘されやすい。改修費を抑えたいなら、内装決定の前に保健所へ相談するのが一番の節約です。

手洗い設備とシンクの基準

手洗い専用の設備と、調理用のシンクは別に必要です。ここを一つで兼ねようとして検査で止まる人が多い。

シンクの数や大きさ、給湯の有無は自治体の基準に従います。事前相談の時点で「うちの厨房で何槽必要ですか」と聞いてしまうのが確実です。

検査で指摘されやすいポイント

現場でよく止まるのは、手洗い設備の不足、シンクの槽数不足、戸棚やショーケースの扉がない、ネズミや虫の侵入を防ぐ対策が甘い、といった点です。

検査で指摘されやすい代表例
指摘されやすい箇所ありがちな状態
手洗い設備調理用シンクと兼用になっている
シンク必要な槽数が足りない
保管設備食品を入れる戸棚に扉がない
防虫・防鼠窓や排水まわりに隙間がある

開業に必要な資格と関連する届出

許可とは別に、用意すべき資格や届出があります。業態や規模で必要なものが変わるので、自分のケースに当てはまるか確認してください。

開業に必要な資格と関連する届出

食品衛生責任者の役割と設置義務

食品衛生責任者は、店の衛生管理を担う責任者です。飲食店には必ず1名以上の設置が義務づけられています。

店主本人が兼ねるのが一般的です。開業までに講習を受け終えていないと許可申請に間に合わないので、早めに日程を押さえてください。

防火管理者が必要なケース

建物の収容人数が一定規模以上になると、消防法にもとづき防火管理者の選任が必要になります。飲食店は火を使うため、消防への届出も避けて通れません。

必要かどうかは建物全体の規模で判断されます。テナント物件なら、消防署に建物の用途と人数を伝えて確認するのが早道です。

深夜酒類提供飲食店営業開始届

深夜0時を過ぎてお酒をメインに提供する店は、警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を出す必要があります。バーや居酒屋でよく関わる手続きです。

これは保健所の営業許可とは別の制度。お酒中心で深夜営業を考えているなら、立地の用途地域も含めて事前に確認しておきましょう。

特殊な営業形態と申請パターンの違い

「自分のケースは特殊では」と不安になる方が多いところです。キッチンカーや自宅営業、法人申請など、よくある相談を整理します。

特殊な営業形態と申請パターンの違い

キッチンカー・移動販売の許可

キッチンカーも飲食店営業許可が必要です。車両という限られた空間に、給水・排水タンクや手洗いを基準どおり積む必要があります。

扱える品目は、車内の設備や給水量によって制限されます。「何でも作れるわけではない」のが落とし穴。仕込み場所を別に確保しなければならないこともあります。

自宅での営業

自宅の一室で営業する場合、家庭用の台所をそのまま使うことは原則できません。営業用の区画と設備を、生活空間と分けて用意する必要があります。

自宅兼店舗は基準を満たすハードルが高い。私の感覚では、結局リフォーム費用がかさみ、テナントを借りるのと大差ない、というケースも少なくありません。

個人事業主と法人での申請の違い

許可は施設に対して下りるので、求められる施設基準は個人でも法人でも同じです。違うのは申請者の名義と、法人なら登記事項証明書などの添付が加わる点です。

注意したいのは、個人で取った許可を法人に切り替えるとき。名義が変わると承継や新規の手続きが必要になります。法人化の予定があるなら、最初から法人で申請するか保健所に相談するのが無難です。

他の自治体で申請する場合の共通点と違い

食品衛生法という同じ法律が土台なので、許可が必要という大枠は全国共通です。違いが出るのは、手数料の金額、申請様式、施設基準の細かな運用です。

だから「東京で取れたから大阪でも同じ」とは限りません。複数店舗を別の地域に出すなら、それぞれの保健所に当たるのが基本です。

つまずきやすい場面と現場の注意点

【申請忘れてませんか?】意外と知らない食品営業申請の解説/オンラインHACCP教室
【申請忘れてませんか?】意外と知らない食品営業申請の解説/オンラインHACCP教室

申請そのものより、許可が下りた後でつまずく人もいます。却下されるケースと、取得後に必要な手続きを押さえておきましょう。

申請が却下・不許可になるケースと対処法

多くは施設基準の不適合です。検査で指摘を受けても、その場で不許可になるとは限りません。指摘箇所を直して再検査を受ければ通ることがほとんどです。

だからこそ事前相談が効きます。図面段階で基準を確認しておけば、再検査の往復という時間とお金のロスを防げます。私が最も口を酸っぱくして言うのがここです。

営業許可証の掲示義務と店舗での取り扱い

交付された営業許可証は、店内の見やすい場所に掲示しておきます。来店者や立入検査の際に確認できる状態にしておくためです。

額に入れてレジ横や厨房入口に貼っている店が多い。しまい込まず、すぐ見せられる場所に置いておきましょう。

変更・承継・廃業・更新などその後の手続き

許可には有効期限があり、期限が切れる前に更新が必要です。更新を忘れると無許可営業になってしまうので、期限は必ず控えておいてください。

店名や設備を変えたとき、事業を引き継いだとき、廃業したときも、それぞれ保健所への届出が必要です。「許可を取って終わり」ではない、と覚えておきましょう。

よくある質問(FAQ)

相談現場で繰り返し聞かれる質問を、端的にまとめました。

よくある質問(FAQ)

よくある質問

飲食店の営業許可証とは?
食品衛生法にもとづき、保健所が施設を検査して「ここで食品を提供してよい」と認めた許可の証明書です。許可は人ではなく施設に対して下りるため、店舗ごとに取得が必要です。
営業許可証の費用はいくら?
申請手数料は各自治体の条例で定められており、全国一律ではありません。開業予定地の保健所が公表する手数料表で確認してください。実際には手数料より、施設を基準に合わせる設備工事の費用のほうが大きくなりがちです。
営業許可の始め方は?
内装工事の前に、図面を持って保健所へ事前相談するのが最初の一歩です。そのうえで食品衛生責任者を確保し、工事→申請→施設検査→許可証交付の順に進めます。検査日は開店予定の2週間以上前に設定すると安心です。

最後に一つだけ。迷ったら、工事を始める前に保健所へ足を運んでください。事前相談に行くかどうかで、開業の労力とコストは本当に変わります。

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宮田さおり

行政書士(飲食・風営法専門) ・ 飲食店開業支援の実務経験あり(年間30件以上の許可申請サポート)
飲食店許認可サポート歴8年

行政書士として飲食店の開業支援を専門に行い、保健所や消防署への同行経験をもとに、申請の実態を正確に伝えることを心がけています。開業を目指す方が迷わず動けるよう、手順と注意点を現場ベースで解説します。

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